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マラソン 補給計画の作り方|糖質・水分・給水所を時間で組み立てる

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マラソン 補給は、糖質を1時間当たり30〜60gの範囲から選び、完走予想時間に掛けて総量を出し、スポーツドリンク分を差し引いてからジェル (Rakuten / Amazon / Yahoo!)を40分〜1時間刻みで給水所へ配置するのが基本です。距離だけで決めず、本番と同じ製品をロング走で試し、胃腸と発汗の反応に合わせて量を修正します。

マラソンの給水所で補給するランナー Photo by Wikimedia Commons contributor on Wikimedia

目次

概要:補給は距離ではなく時間で設計する

炭水化物は、スポーツ栄養におけるマラソン補給の中心です。骨格筋と肝臓に蓄えるグリコーゲンだけに頼りません。走行時間に伴うエネルギー消費量運動強度に合う糖質を走行中も少量ずつ入れるため、最初に「何km地点」ではなく「何g/時」を決めます。スポーツドリンクも糖質源として数え、一般的な出発点を30〜60g/時に置きます。2.5時間を超える競技では、条件付きで60〜90g/時も検討されます。

ここで重要なのは、上限を目標にしないことです。ACSM(アメリカスポーツ医学会)の指標として30〜60g/時が紹介されていますが、60〜90g/時へ上げる場合は、グルコース系とフルクトース系を組み合わせ、練習で胃腸を慣らすことが前提になります。初フルで4〜5時間の完走を目指すなら、まず30〜60g/時の範囲で再現できる量を見つける方が現実的です。

ランニングで距離固定がずれる理由は、同じ10kmでも走行時間が違うからです。サブ3.5では10kmがおよそ50分でも、5時間前後のランナーでは70分以上空く場合があります。「同じ『10kmごと』でも、走るペースによって補給間隔は大きく変わります」とPalatinoseの目標タイム別ガイドも説明しています。時間で設計し、最後に距離へ変換すると、ペースが変わっても糖質不足を見つけやすくなります。

2022年のセビージャマラソンに参加した成人160人を調べた研究では、競技中の平均摂取量は糖質35±17g/時、水分466±279mL/時、ナトリウム192±150mg/時でした。30〜60g/時を満たした割合は全体で49.0%、サブスリー群では69.4%でした。速い人の摂取量をそのまま模倣する根拠ではありませんが、理論上の推奨と実走時の摂取には差があることが分かります。

補給全体の位置づけはランニング栄養・補給完全ガイド、製品ごとの違いはエナジージェルの選び方と使い方で確認できます。本記事では商品選びより先に、必要量とタイミングを決めます。

準備するもの

レース当日のチェックリストへ補給欄を追加するには、製品名より先に、時間・糖質量・給水所を記録できる材料をそろえます。スマートフォンのメモでも紙でも構いませんが、走りながら見なくても思い出せる単純な表にしてください。補給品はランニングポーチ (Rakuten / Amazon / Yahoo!)の取り出す順番まで決めると、表と携帯位置を対応させられます。

  • 完走予想時間:直近のレースやロング走を基に、現実的な所要時間を置きます。
  • 大会のコース図:給水所と給食の位置、大会制限時間、提供される飲料や食品を確認します。
  • 補給品の栄養成分表示:1袋・1本当たりの炭水化物、カフェイン、ナトリウムを転記します。
  • 飲料の想定量:スポーツドリンク (Rakuten / Amazon / Yahoo!)を取る回数と、おおよその量を別欄にします。
  • 携帯方法:ポケットやポーチのどこへ何番目の補給を入れるか決めます。
  • 予備1回分:落下、開封失敗、給水所の混雑に備えます。

大会公式の提供品を使う場合も、本番で初めて口にしないことが基本です。味、濃さ、カップ量は会場で一定とは限りません。手元の製品ラベルで計算できない部分は、確実な糖質量として数えず「追加分」として扱います。

手順

糖質の補給計画は、マラソンレースの完走予想時間から必要量を出し、エナジージェルと飲料へ分けます。その後、給水所へ配置して初めて、当日に使える手順になります。

ステップ1: 1時間当たりの糖質目標を決める

糖質目標は、初回なら30〜60g/時の中から選びます。過去のロング走で補給が少なかった人、胃腸が弱い人、完走優先の人は下側から始めます。強度の高い練習だけで判断せず、本番ペースでも試します。すでに練習で60g/時を問題なく取れている人は、その再現を優先します。

2.5時間を超えるマラソンだからといって、いきなり90g/時へ上げる必要はありません。60〜90g/時は、異なる吸収経路を使う糖質の組み合わせと胃腸の適応が前提です。上限を追うより、最後まで予定どおり飲食できる量を目標設定へ反映します。

よくある失敗は、「推奨の最大値ほど速くなる」と考えることです。修正方法は、直近のロング走で完遂できた量を基準にし、増量は練習で段階的に行うことです。

ステップ2: 完走時間から総糖質量を出す

総糖質目標は、次の式で出します。

完走予想時間 × 1時間当たりの糖質目標 = レース中の総糖質目標

この総量をすべてジェルで運ぶ必要はありません。エナジージェル (Rakuten / Amazon / Yahoo!)は1個20〜30g前後の商品が多く、スポーツドリンクや大会給食からも糖質を取れます。先に飲料分を見積もり、残りをジェルや食べ慣れた補給食へ割り振ります。

たとえば、商品ラベルに炭水化物25gと書かれたジェルなら「1袋=25g」と記録します。飲料は商品表示と実際に飲める量を分けます。アイソトニック飲料ハイポトニック飲料も、商品ラベルに示された糖質だけを計上します。カップ1杯を必ず飲み切れる前提にすると、混雑やこぼれで計画が崩れるため、控えめに数えます。

よくある失敗は、ジェルの個数だけを決め、スポーツドリンク分を忘れることです。修正方法は、表に「ジェル由来」「飲料由来」「給食由来」の3列を作り、合計だけを目標と比較することです。

ステップ3: 時間を距離と給水所へ変換する

給水所へ配置する補給間隔は40分〜1時間を目安に置き、目標ペースから通過地点へ変換します。最初の補給を空腹や疲労が出てからにせず、序盤から予定へ入れます。距離表示は実行の合図であり、必要量を決める基準ではありません。

ジェルは給水所の少し手前で取り出し、開封してから水と一緒に取れるようにします。濃いジェルを水なしで一気に入れると、甘さや胃の重さが残ることがあります。給水所が混雑していた場合に備え、「次の給水所へ送る」「手持ちの水で取る」のどちらにするかも決めます。

よくある失敗は、時計だけを見て混雑の中で急にジェルを開けることです。修正方法は、予定時刻の直後にある給水所を実行地点にし、イーブンペースを基準にしても5分程度の前後は許容することです。

ステップ4: 水分と電解質を同じタイムラインへ入れる

水分と電解質は、糖質を流し込み、深部体温の調節と体液バランスを支えます。一般的な開始範囲として400〜800mL/時が示されますが、必要量は発汗量、気温、湿度、体格、ペースで変わります。心拍数だけで飲水量を決めず、似た条件の練習前後で体重を測って調整します。

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汗とともに失うナトリウムなどの電解質も、飲料や食品の成分表示から確認します。ただし、水分や塩分を多く取れば安全になるわけではありません。飲み過ぎで体重が増える計画は避けます。

よくある失敗は、糖質表と給水表を別々に作り、ジェルと飲料の組み合わせを見失うことです。修正方法は、同じ時刻の一行へ「糖質・水分・電解質」を並べることです。

ステップ5: 予備と中止条件を決める

予備は、使う予定の製品と同じものを1回分だけ追加します。種類を増やしすぎると、どれをいつ取るか判断が増えます。開封しにくい製品は切り込み位置を確かめ、ポケットの取り出す順番も固定します。

吐き気、腹痛、強いめまい、意識の違和感、自力で飲めない状態が出たときは、ランナーの安全対策を優先し、ペースを落として救護へつながります。予定量を取り切ることは完走条件ではありません。

よくある失敗は、遅れた補給を一度に取り戻そうとすることです。修正方法は、次の1回を少量にし、症状が続くなら補給を中止して救護を利用することです。

flowchart TD
    A["完走予想時間を決める"] --> B["糖質目標を30〜60g/時から選ぶ"]
    B --> C["飲料と給食の糖質を見積もる"]
    C --> D["残りをジェルへ割り振る"]
    D --> E["40〜60分刻みで給水所へ配置"]
    E --> F["ロング走で胃腸と発汗を確認"]
    F -->|再現できた| G["本番用の表として固定"]
    F -->|再現できない| H["量・種類・間隔を一つずつ修正"]

補給計画は、必要量の計算よりもロング走で再現できるかどうかで完成します。

目標タイム別の補給モデル

炭水化物の総量は、ランニングペースではなく完走までの時間で増えます。Sports Medicine - Openに掲載され、米国国立医学図書館で公開された2025年の160人研究でも、競技中の糖質、水分、ナトリウム、カフェインを時間当たりで評価しています。

目標想定時間30〜60g/時から導く総糖質の目安ジェル個数の参考
サブ3.53時間30分以内約105〜210g3〜4個
サブ44時間以内約120〜240g3〜4個
サブ4.54時間30分以内約135〜270g4〜5個
サブ55時間以内約150〜300g4〜6個

この表のジェル個数だけでは、総糖質の上限まで届きません。りない分はスポーツドリンク、給食、スタート前の補給を含む全体で考える必要があります。逆に、飲料を多く取る大会でジェル個数だけを増やすと、予定以上の糖質濃度になることがあります。

「高用量では、腸での吸収を速めるためグルコースとフルクトースの混合が望ましい」とGSSIの持久系糖質ガイドは説明しています(原文英語)。ただし同資料は、60〜90g/時より高い量について、明確な競技上の利点を確認してから合意値を引き上げるのが妥当とも述べています。市民ランナーは、90g/時を標準値として扱わないでください。

水分・電解質を糖質と同じ表に入れる

水分補給電解質は、糖質補給と同じ時系列で管理します。「糖質×水分×電解質の3点セットで考える」とミズノの距離別補給記事が述べるように、どれか一つを独立したノルマにすると組み合わせの失敗が起きやすくなります。

水分の400〜800mL/時は、固定値ではなく開始範囲です。研究で観察された平均は466±279mL/時で、個人差が大きく出ています。暑熱順化の程度や暑さ指数(WBGT)が異なると発汗の反応も変わるため、本番に近い条件の練習で調整します。高温時は熱中症の兆候も給水量とは別に監視します。経口補水液は通常のスポーツドリンクとは用途が異なるため、日常の補給へ自動的に置き換えません。

ナトリウムは発汗で失われる電解質の一つです。しかし、塩分だけを追加して飲水量の誤りを相殺することはできません。ランニング中の水分補給戦略で発汗量と飲水量の関係を確認し、飲み過ぎと不足の両方を避けます。

よくある失敗と修正方法

運動関連低ナトリウム血症30kmの壁は、補給量を一方向へ増やせば同時に防げる問題ではありません。前者では過剰飲水が重要な危険因子となり、後者への対策では序盤からの糖質摂取、ペース配分、スタート前の貯蔵量を組み合わせます。

30kmまで糖質を取らない

30kmの壁が心配だから30kmで初めて糖質補給をする、という順番は逆です。エネルギー不足を感じる前に、序盤から時間基準で補います。最初の補給を40〜60分の範囲へ置き、以降も大きく間隔を空けません。

距離固定を全員に当てはめる

10kmは覚えやすい一方、5時間前後では70分以上空く場合があります。まず時間で間隔を決め、目標ペース表から8km、9km、10kmなど自分の実行地点へ変換します。

ジェルをスポーツドリンクで流し込む

ジェルとスポーツドリンクを同時に取ると、意図せず糖質が重なることがあります。製品の指示と練習時の反応を確認し、濃いジェルは水と組み合わせる計画から試します。飲料の糖質を使う回は、ジェルを減らす選択もあります。

90g/時へ本番だけ増やす

60〜90g/時は複数糖質と胃腸の適応が前提です。本番だけ増やすと、胃の重さ、腹痛、吐き気で計画全体が止まる可能性があります。局所的な運動時の脇腹痛と胃の重さは分けて記録し、同じ「腹痛」として扱いません。30〜60g/時から始め、一度に変えるのは量、種類、間隔のどれか一つにします。

水と塩分を予定以上に取る

塩分タブレットを持っていても、過剰飲水による低ナトリウム血症を自動的に防げるわけではありません。体重が増える飲み方を避け、めまい、混乱、吐き気などの異常があれば、補給を続けながら様子を見るのではなく救護を利用します。

落とした分を一度に取り戻す

ジェルを落としたり給水を逃したりしても、次の給水所で2回分を一気に入れません。予備を使って通常間隔へ戻すか、飲料で一部を補います。遅れをゼロに戻すより、胃腸を止めないことを優先します。

本番前にロング走で検証する

糖質計画は、ロングランで同じ製品、同じ携帯位置、近いペースを再現して初めて完成します。机上で30〜60g/時に収まっていても、開封できない、甘さが続かない、水が足りないという実行上の問題は走らなければ分かりません。

検証では、ランニング日誌 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)へ補給時刻、製品、糖質量、飲水量、気温、腹部症状、自覚的運動強度を記録します。成功条件は「全部食べ切った」ではなく、予定したペースを保ちながら胃腸症状がなく、次回も同じ手順を再現できることです。

マラソントレーニングでは、トレーニング負荷を本番前に調整します。レース前のカーボローディングと当日のレース前の食事は、レース中補給とは別の計画です。前日までの準備はカーボローディングの正しいやり方レース当日の朝食ランニング前の食事とタイミングで確認し、同じロング走の前にまとめて試します。朝食で足りない場合の糖質を含む軽食も、食べ慣れた内容を同じ条件で試します。

次のように一項目ずつ直します。

  • 胃が重い:1回量を減らし、間隔を少し短くします。
  • 甘さがつらい:味や食感を変えますが、糖質総量は維持できるか確認します。
  • 水が足りない:ジェル位置を給水所へ寄せ、濃い製品を単独で取らないようにします。
  • 補給を忘れるランニングウォッチ (Rakuten / Amazon / Yahoo!)の通知と距離表示を併用します。
  • ポーチが揺れる:製品数を減らす前に、配置と携帯方法を変えます。

ただし、練習で2回以上再現できない量を本番の標準にしないでください。1回だけ成功した高摂取量より、複数回問題なく続けられた控えめな量の方が、当日の判断負担を減らします。

よくある質問

カフェイン入りジェルを含め、マラソン補給の細部には一律の正解がありません。商品ラベル、普段の摂取習慣、胃腸の耐性、睡眠への影響まで含めて決めます。

ジェルは水とスポーツドリンクのどちらで取りますか?

濃いジェルは、まず水と組み合わせて練習します。スポーツドリンクと同時に取る場合は、両方の糖質を合算し、胃が重くならないか確認します。商品に水の併用指示がある場合は、その表示を優先してください。

刺激成分入りジェルは終盤に残すべきですか?

終盤用と決めつける必要はありません。カフェインは体質差があり、普段取らない人が本番で初めて使うべきではありません。摂取量はジェルだけでなく、朝のコーヒーやほかの飲料も合わせて確認します。

大会給食は糖質計画へ入れますか?

量と成分が確認でき、練習でも食べられた食品だけを確実な糖質として数えます。現地で量が読めない給食は追加分にとどめ、必須の補給を大会提供品だけへ依存しない方が安全です。

予定よりペースが遅れたら補給も遅らせますか?

ペースが予定より遅れても、距離ではなく時間で設計しているため、基本の補給時刻は大きく遅らせません。ただし胃腸症状や気象条件が変わった場合は、量を減らす、次の給水所へ送るなど安全側へ修正します。

当日の判断ルール

マラソン当日は、次の5条件で補給表を使います。表を守ることより、体調と安全を優先します。

  1. 糖質は30〜60g/時から、練習で再現できた量を採用する。
  2. ジェル、飲料、給食の糖質を合算し、二重計上しない。
  3. 40〜60分刻みで設計し、実行地点だけを給水所のkmへ合わせる。
  4. 水分は400〜800mL/時を固定ノルマにせず、発汗量と天候で調整する。
  5. 吐き気、強いめまい、混乱、自力で飲めない状態では計画を中止し、救護を利用する。

補給計画は「多く取る表」ではなく、必要量を持ち、忘れず、取り過ぎず、異常時にやめられる表です。完走後はトレーニング回復へ切り替えます。

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出典

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