カーボローディングの正しいやり方
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カーボローディングの正しいやり方は、カーボローディングが必要な90分以上のレースを選び、競技36〜48時間前から練習量を落としながら、1日10〜12g/kgの糖質を3〜5回へ分けて取る方法です。前夜のドカ食いや、事前に糖質を枯渇させる古典法ではありません。初回は本番ではなくロング走前に試し、胃腸の反応まで確認します。
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目次
- カーボローディングとは
- カーボローディングが向くレースと必要量
- 手順
- 体重別計算を食事へ落とし込む
- よくある失敗と直し方
- 当日朝とレース中の補給は別に考える
- 実施前に個別相談を優先するケース
- 迷ったときの判断ルール
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カーボローディングとは
グリコーゲンは、食事の糖質から作られ、主に筋肉と肝臓へ蓄えられるエネルギー源です。カーボローディングは、レース前に糖質摂取を増やすだけでなく、練習量を落としてグリコーゲンの消費を抑え、スタート時の貯蔵量を高めるスポーツ栄養の方法です。
Wikipedia日本語版は目的を「カーボ・ローディングはグリコーゲンを最大限、体に貯蔵して高い運動能力を得る事を目的に行われる」と記しています。呼び名は「グリコーゲンローディング」「糖質ローディング」でも、実務上の焦点は食べ放題ではなく、摂取とエネルギー消費の差をレース前だけ計画的に広げることです。
古典法では、約1週間前から糖質を制限して運動し、グリコーゲンをいったん枯渇させてから高糖質食へ切り替えていました。しかし、疲労が残りやすく、切り替え後に消化器の調子を崩すと計画そのものが成立しません。現在は枯渇期を設けず、1〜3日の高糖質食と練習量の削減を組み合わせる方法が中心です。
この変化は、市民ランナーにとって重要です。食事を極端に変えるより、トレーニング負荷を下げ、普段食べ慣れた主食の割合を増やす方が、トレーニング回復と胃腸の安定を両立しやすくなります。
カーボローディングが向くレースと必要量
マラソンのように90分以上続く有酸素運動は、カーボローディングの主な対象です。まず予想完走タイムから走行時間を見積もります。次に大会制限時間も確認して、マラソン大会で必要な準備規模を決めます。90分未満で終わるレースでは、グリコーゲンが大きく減る前に競技が終わるため、数日間の高糖質食による利益は大きくないと考えられています。短いレースなら、普段の食事と当日朝の補給を整える方が実行しやすいでしょう。
量の基準は、競技36〜48時間前の1日あたり、炭水化物10〜12g/kgです。Utah State Universityの持久系ランナー向けガイドは、2日間は運動を休み、この量を取る方法を示しています。体重60kgなら600〜720g/日、70kgなら700〜840g/日です。目的は、グリコーゲン不足でペースが落ちる30kmの壁を起こしにくい準備を整えることです。同じ考え方は、90分以上続くサイクリングなどの持久競技にも当てはまります。
同ガイドは、研究上の効果を持久系パフォーマンス最大3%としています。3%は全員に保証される記録短縮ではありません。競技時間、普段の糖質摂取、運動強度、胃腸の耐性によって結果は変わるため、目標量を食べ切ること自体をゴールにしないでください。
flowchart TD
A["予定競技は90分以上か"] -->|いいえ| B["普段の食事と当日朝の補給を優先"]
A -->|はい| C["練習で高糖質食を試したか"]
C -->|いいえ| D["ロング走前に小規模リハーサル"]
C -->|はい| E["持病や強い胃腸症状がないか"]
E -->|いいえ| F["36〜48時間の計画を実施"]
E -->|はい| G["自己判断せず医療職へ相談"]
90分、リハーサル、体調の3条件でカーボローディングの実施可否を決めます。
ただし、90分は機械的な境界ではありません。普段から糖質摂取が十分で、競技時間も短い人に大量摂取を加えると、胃もたれや余分なカロリーだけが増える可能性があります。ランニングの距離ではなく、完走までにかかる時間を基準にしてください。栄養全体の組み立ては、親記事のランニング栄養・補給完全ガイドで確認できます。
手順
テーパリングは、レース前に練習量を落とし、疲労を抜きながら必要な刺激を残す調整です。カーボローディングでは、糖質を増やす36〜48時間とテーパリングを重ねます。事前確認には、本番と似た開始時刻のロング走を使い、最終日は休息日として計画します。完全休養の代わりにごく軽く動く場合も、アクティブレストとして疲労を増やさない範囲に抑えます。当日朝はウォームアップ以外の運動を控えます。
| 時期 | 運動 | 糖質・食事 | 失敗時の修正 |
|---|---|---|---|
| 1週間〜3日前 | 走行量を段階的に減らす | 普段の食事を維持 | 食事まで急に変えず、疲労を残さない |
| 36〜48時間前 | 休養またはごく軽い運動 | 10〜12g/kg/日を3〜5回へ分割 | 一度に入らなければ主食と飲料へ分ける |
| 前日夜 | 追い込み練習をしない | 食べ慣れた低脂質・低繊維の食事 | 大盛り一食で不足分を埋めない |
| 当日朝 | ウォームアップ以外は休む | 開始までの時間に合わせた朝食 | 新しい食品やサプリを試さない |
ステップ1: 対象レースを判定する
対象レースの判定では、予想競技時間が90分以上かを最初に確認します。フルマラソン、ウルトラマラソン、長距離のトライアスロンやサイクリングなどが中心です。10kmを60分で走る予定なら、同じ規模の方法は必要ありません。
よくある失敗: 「大会なら全部必要」と考えることです。修正: 距離名ではなく予想時間で分け、90分未満なら通常食と当日朝食を優先します。
ステップ2: 体重から1日の糖質量を計算する
糖質量は「体重kg×10〜12g」で計算します。体重60kgなら600〜720g、70kgなら700〜840gです。これは食材の重量ではなく、栄養表示にある炭水化物量の合計です。ご飯600gを食べれば糖質600gになるわけではありません。
よくある失敗: 食品重量と糖質量を混同することです。修正: 包装食品は栄養成分表示を見て、主食は一般的な成分表を目安にし、最初から上限を狙わず普段との差を把握します。
ステップ3: 36〜48時間前から練習量を落とす
36〜48時間前からは、糖質を増やす一方で走行量を落とします。「現在、カーボローディングは競技の36〜48時間前に行うことが推奨されています」(原文英語)とUtah State Universityは説明しています。糖質だけ増やしてマラソントレーニングの追い込みを続けると、貯蔵と消費が同時に進みます。
よくある失敗: 練習不足への不安から直前まで距離を追加することです。修正: 休息日を計画に入れ、走る場合も疲労を残さない短い刺激にします。
ステップ4: 目標量を3〜5回へ分ける
目標量は、朝食・昼食・夕食と1〜2回の間食へ分けます。60kg向けの日本語献立例では、白米、うどん、パスタ、パン、バナナ、ジュース、スポーツドリンクなどを使い、合計約670gを複数回へ配分しています。前夜一食で600g以上を取る計画ではありません。
よくある失敗: おかずを変えずに主食だけ追加し、総食事量と脂質まで増えることです。修正: 揚げ物や脂身の多い肉を減らし、その分を白米やうどんへ置き換えます。固形物だけで苦しい場合は、普段飲み慣れた糖質入り飲料 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)を一部に使います。
ステップ5: 前日に胃腸・体重・準備物を確認する
レース当日のチェックリストでは、前日に腹部の張り、便通、吐き気、強いむくみがないかを確認します。グリコーゲンは水分を伴って貯蔵されるため、解説例ではグリコーゲン1gにつき水分3g、体重1〜2kg増を正常な反応の範囲として示しています。ただし、体重増を目標にはしません。
よくある失敗: 体重が増えたことだけで中止する、または強い胃腸症状を「効いている証拠」と見なすことです。修正: 軽い重さと不調を区別し、痛み、嘔吐、下痢、持病に関わる変化があれば実施を中止します。
最初の本格実施を大会本番にしないことが、5ステップ全体の安全策です。ハーフマラソンや長い練習の前に量を抑えたリハーサルを行い、食べられた量はランニング日誌 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)に残し、走行時間と距離はアクティビティ記録で確認します。走り始めのきつさは自覚的運動強度として記録します。
体重別計算を食事へ落とし込む
食事管理では、水分補給とレース前の食事を配分し、計算した糖質量を胃腸へ無理なく入れます。固形物だけに偏らず、摂取タイミングごとに主食・糖質を含む軽食・飲料へ分けます。一方、水分の取り過ぎは低ナトリウム血症につながるため、一律量ではなく普段の摂取、気温、発汗、尿の状態を合わせて見ます。
体重60kgで目標を600〜720gとした場合、中央付近の約670gを使うと配分を考えやすくなります。
| タイミング | 糖質源の例 | 目安 | 組み立ての意図 |
|---|---|---|---|
| 朝食 | 白米、バナナ、果汁 | 約150g | 夜間後の補給を早めに始める |
| 昼食 | うどん、おにぎり | 約200g | 主食中心で量を確保する |
| 夕食 | パスタ、パン、低脂質の副菜 | 約220g | 就寝直前のドカ食いを避ける |
| 間食 | あんパン、カステラ、糖質入り飲料 | 約100g | 三食に入り切らない分を分散する |
| 合計 | 3食+間食 | 約670g | 60kgで約11g/kgに相当 |
この表は献立の固定処方ではなく、配分の例です。乳糖不耐症などで乳製品から腹部症状が出る人や、果汁で不調が出る人は、レース前だけ採用しないでください。白米、白いパン、白いパスタのような低繊維の主食は、健康的な日常食の永久的な代替ではなく、レース直前の短期間に胃腸負担を下げる道具です。
筋タンパク質合成に関わるタンパク質を抜く必要もありません。鶏ささみ、白身魚、豆腐など、脂質の少ない食材を少量組み合わせると、主食の比率を高めながら食事の形を保ちやすくなります。反対に、揚げ物、バター、脂身の多い肉を増やすと、糖質量を確保する前に満腹になりやすくなります。
Utah State Universityのガイドは「グリコーゲンは主に筋肉と肝臓に貯蔵されます」(原文英語)と説明しています。筋肉の貯蔵と、夜間にも使われる肝臓の貯蔵を考えると、前夜だけでなく当日朝の食事も別枠で必要です。
また、Nutrients誌のレビューは、運動に必要な炭水化物量が運動強度と継続時間に結び付くと整理しています。数字を守ることだけでなく、自分のレース時間と食べられる量へ合わせることが優先です。
よくある失敗と直し方
カーボローディングで多い失敗は、前夜の大盛り、脂質・食物繊維の取り過ぎ、練習量を落とさないこと、本番で初めて試すことです。どれも「糖質を増やす」という一部分だけを実行し、期間・消費・胃腸耐性を切り離すと起こります。
- 前夜だけパスタを大盛りにする: 36〜48時間へ分散し、不足分を最後の一食へ押し込みません。
- 揚げ物やクリーム系ソースも増やす: 脂質を抑え、白い主食へ置き換えます。
- 玄米・豆・きのこ・海藻を普段通り大量に取る: 食物繊維は健康に必要ですが、レース直前だけは量を抑えます。高繊維食は運動時の胃腸不調につながることがあります。
- 直前まで走り込む: 糖質摂取と同時に練習量を落とし、貯蔵へ回せる条件を作ります。
- 初めてのジェルやサプリメントを追加する: 本番では食べ慣れた食品だけを使い、新製品は練習で試します。
- 体重増だけを失敗と判断する: 1〜2kgの増加があり得る一方、強いむくみや胃腸症状は別の問題として確認します。
6資料を横断すると、期間の表現は1〜3日、36〜48時間、3日前からと幅があります。しかし、「糖質を増やす期間に練習量を落とす」点は共通しています。日数の違いに迷うより、2日前からの実施を基準にし、練習で確認済みなら3日前から穏やかに増やす方が実行しやすいでしょう。
ただし、90分未満の競技には同じ規模の方法を勧めません。大量の糖質を食べるほど準備が丁寧になるわけではなく、不要な場合に規模を下げることも正しい判断です。
当日朝とレース中の補給は別に考える
エナジージェルは、携帯しやすい糖質補給食品であり、レース前の貯蔵を増やすカーボローディングとは役割が異なります。カーボローディングを完了しても、長時間のレース中に使う糖質や水分が不要になるわけではありません。
レース当日の朝食は、スタートまでの時間に合わせて食べ慣れた糖質を補う機会です。一般的な運動前食は1〜4時間前が目安で、1時間未満しかない場合は高繊維の複合炭水化物が胃腸へ残りやすいため、消化しやすい糖質を少量使います。早朝レースで時間がない場合でも、前夜の大食いだけで代用しないでください。
レース中は、エナジージェル (Rakuten / Amazon / Yahoo!)、スポーツドリンク (Rakuten / Amazon / Yahoo!)、補給食を組み合わせます。給水所の配置と携行量を事前に確認し、発汗が多い条件では、電解質も検討します。具体的な製品の使い分けはエナジージェルおすすめと使い方、飲む量とタイミングはランニング中の水分補給戦略へ分けて考えると整理しやすくなります。
実施前に個別相談を優先するケース
日本スポーツ振興センターはスポーツ医・科学とアスリート支援に関する情報を提供し、日本スポーツ協会は公認スポーツ指導者制度や安全な運動実践の情報を扱っています。ただし、一般情報は個人の病状を診断するものではありません。
糖尿病、脂質異常症、腎疾患、摂食障害の治療中である場合、または食事変更で強い腹痛、下痢、嘔吐、めまいが出る場合は、一般的な10〜12g/kgを自己判断で当てはめないでください。主治医や管理栄養士へ、競技時間、普段の食事、服薬、実施予定を伝えて相談します。
過去のロング走で糖質摂取後に繰り返し不調が出ている人も同様です。記事の数値より、治療方針と個別の耐性を優先してください。
迷ったときの判断ルール
カーボローディングを実施する条件は、競技が90分以上、36〜48時間の調整が可能、10〜12g/kgを分散できる、練習でリハーサル済み、強い不調や医療上の制約がない、の5つです。すべて満たすなら計画通りに進め、1つでも満たさないなら規模を下げるか実施を見送ります。
判断を一文にすると、**「90分以上なら2日前から、体重で計算し、3〜5回へ分け、練習量を落とし、練習で試した食品だけを使う」**です。食べ切れないときは前夜に詰め込まず、普段との差を小さくして次のロング走で再調整します。
関連記事
Sources
- カーボ・ローディング — Wikipedia日本語版 — 2010-01-02 — 定義、古典法と現代法の違いを確認しました。
- カーボローディング完全ガイド — きだ内科クリニック — 2025-10-16 — 体重別糖質量、食事配分、胃腸対策を確認しました。
- カーボローディング最新研究 — 佐藤宏隆 — 2025-03-05 — 1〜3日の短期法、テーパリング、90分基準を確認しました。
- Carbohydrates and Endurance Exercise — Nutrients — 2023-03-11 — 炭水化物摂取と運動強度・時間の関係を確認しました。
[en] - Prioritizing Carbohydrates — Utah State University — 2023-10-17 — 36〜48時間、10〜12g/kg、低繊維食、最大3%の記述を確認しました。
[en] - マラソン大会前のカーボローディングのやり方 — 31らん — 2021-08-29 — 3日前からの現代的な手順と日本の主食例を確認しました。
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