ランニングと環境への配慮|eco-friendly-running-sustainable-practices 実践ガイド
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環境配慮型ランニング(eco-friendly-running-sustainable-practices)とは、ギアの購入・使用・処分、走る場所への移動、給水、マラソン大会への参加、自然利用まで含めて環境負荷を減らす走り方です。最初に新品の「エコ商品」を探すのではなく、安全に使える手持ち品を長く使い、自宅近くを走り、使い捨てを減らす順で始めます。
環境配慮型ランニングとは
環境配慮型ランニングは、ランニングライフに環境面の判断を組み込む実践です。日本スポーツ協会は、スポーツが「環境と共生の時代を生きるライフスタイル」の創造に寄与するという考え方を示しています。走行中にごみを捨てないだけではなく、走る前後の選択まで対象にするのがポイントです。
ランニングは走行中に燃料を使わない運動ですが、市民ランニングにも環境負荷はあります。代表例は、シューズやウェアの原材料調達・製造・輸送・廃棄、大会会場までの移動、給水所の容器、トレイルの土壌や植生への影響です。日々の短いランと遠方の大会では負荷の発生場所が異なるため、「ランニングは移動手段を使わないから常に環境にやさしい」と一括りにはできません。
ここで基準になるカーボンフットプリントとは、原料調達から廃棄までのライフサイクルで生じる温室効果ガスをCO2換算した量です。ライフサイクルアセスメント(LCA)は、その各段階の負荷を調べる方法を指します。素材名だけで判断せず、製造、耐久性、手入れ、回収後の行き先までを見るための考え方です。
SDGsは2030年までの17ゴールと169ターゲットで構成されます。また、日本スポーツ協会は、2015年に改訂されたユネスコの「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」で、持続可能性が重要原則に位置づけられたことを紹介しています。大きな理念を毎日の行動へ落とすなら、まず「買う量」「走る場所への移動」「使い捨て」の3点を見直すと迷いにくくなります。
環境配慮型ランニングで優先する3つの行動
通勤ランのように生活圏の移動と走行を組み合わせると、サステナブルランニングを特別なイベントにせず続けられます。優先順位は、手持ち品を点検する、自宅や公共交通から走り始める、繰り返し使える容器を使うの順です。
- 手持ち品を一覧にします。 同じ用途のシューズやランニングウェアを何点持っているか、安全に使えるか、修理や手入れで延命できるかを確認します。機能に問題がなければ、環境配慮表示を理由に新品を買い足しません。
- 近場のルートを先に探します。 車で走行場所へ移動する前に、玄関から走れる公園や河川敷、公共交通で行けるコースを比較します。短い日はジョギングとウォーキングを組み合わせれば、遠くへ移動しなくても練習頻度を保てます。夕方や夜の近距離ルートでは、車移動を避ける判断と同時に反射材付きウェアで視認性も確保します。
- 使い捨てを持ち込まない準備をします。 ランニング用バックパック (Rakuten / Amazon / Yahoo!)にマイボトル (Rakuten / Amazon / Yahoo!)やカップ (Rakuten / Amazon / Yahoo!)を入れ、ジェルなどの包装は持ち帰ります。自宅で補給できる短いランなら、個包装品を毎回持つ必要があるかも見直せます。
この順序には例外があります。シューズフィットが崩れ、足部の痛み、靴ずれ、滑り、大きな破損が生じたシューズを、環境のために限界まで使うのは適切ではありません。環境負荷を減らすこととランナーの安全対策を競合させず、安全を買い替え判断の上限にします。痛みが続く時は、買い替えだけで解決しようとせずオーバーユース障害の可能性も考え、走行を中断して回復を優先します。
「買わない」ことを我慢と考えると続きません。走行用途を外した靴を普段履きへ回す、ウェアを室内運動へ回すなど、機能に合う範囲で役割を変える方法もあります。ただし、滑る靴を雨天用に回すような危険な転用は避けてください。
環境配慮型ランニングのギア選び
環境配慮型ランニングのギア選びでは、ランニングシューズの素材表示より購入頻度を先に確認します。ランニングシューズの寿命は一律の距離だけで決めず、摩耗、クッションの変化、痛み、用途を合わせて判断します。
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一般的なランニングシューズは平均65種類のコンポーネントで構成され、ライフサイクル全体で1足14kg、そのうち製造過程で9.5kgのカーボンを排出するという試算があります。アッパー、ミッドソール、アウトソールなど異なる部材を組み合わせる構造は、性能を支える一方で、回収後の分離を難しくします。インソールもシューズを構成する部材の一つです。
再生ポリエステルはバージンポリエステルより84%少ないエネルギーで生産できるとされます。しかし、再生素材を含むシューズへ替える効果が約9%なのに対し、年間の購入数を1足減らすとカーボンフットプリントが3分の1減るという比較があります。「一番効果的なのは年間のシューズ購入数を一足でも減らすこと。これでカーボンフットプリントが3分の1減少します」とWomen’s Healthの解説は紹介しています。
この差から分かるのは、再生素材に意味がないということではありません。素材を選ぶ前に、用途が重複する買い足しを減らす方が優先度は高いということです。必要な交換時期が来たら、再生素材の比率、耐久性、製造時の排出量、修理・回収方法を比較します。機能に問題がなければ、洗浄と乾燥で汚れや湿気を除き、状態を保ちます。
| ギアの状態 | 最初の判断 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 機能に問題がない | 買い足さない | 洗浄と乾燥で状態を保つ |
| 軽い汚れ・ほつれ | 使用可否を点検 | 手入れや修理を優先する |
| 滑り・痛み・大きな破損がある | 走行用途から外す | 回収方法を確認して交換する |
| 新しい用途が必要 | 手持ち品で代用できるか確認 | 耐久性、修理性、素材根拠を比較する |
| 手放す | 可燃ごみと決めつけない | 自治体、店舗、メーカーの回収条件を確認する |
メーカーの環境情報も、製品の一部分ではなくライフサイクルで読みます。ASICSは製造段階における環境負荷の説明で、シューズに関連するCO2排出量の多くが製造工程と材料調達で発生するとしています。ミズノもサステナブル・プロダクトの方針で、原材料から廃棄までのLCAに加え、耐久性、メンテナンス、リペアによる長寿命化を挙げています。ブランド名や「再生素材」という一語だけでなく、どの範囲を測り、どこを改善しているかまで確認する姿勢が必要です。
ウェアも同じです。環境省が紹介する値では、衣服1着の生産に約25.5kgのCO2と約2,300Lの水を要します。必要な一着を長く着て、手放す時は回収や寄付の条件まで確認する方が、環境配慮表示だけを理由に買い替えるより判断が一貫します。
グリーンウォッシングとは、実質的な根拠より環境配慮の印象を強く見せる表示や広報です。避けるには、再生素材の比率、算定対象となるライフサイクルの範囲、比較対象、耐久性、回収後の用途が公開されているかを見ます。「地球にやさしい」という表現だけで、数値や対象範囲が分からない製品は保留して構いません。
用途選びはランニングシューズ完全ガイド、日常の手入れはランニングシューズの洗い方で確認できます。環境面の延命策は、安全な使用条件とセットで考えてください。
大会で実践する環境配慮型ランニング
旅ランを兼ねた大会では、環境配慮型ランニングの判断として水分補給の方式だけでなく、会場までの移動と宿泊も確認します。出張先で走る出張ランなら、旅ラン装備を必要最小限にし、現地で使い捨て品を買わずに済む準備をします。World AthleticsのAthletics for a Better World Standard(ABW Standard)は、調達、廃棄物、エネルギー、食料・水、移動・宿泊を含む55の行動領域で大会運営を捉えています。
2025年の湘南国際マラソンは、大会当日のごみを2,274kgに抑えました。マイカップ・マイボトル導入前の2019年は11,495kgだったため、約76%の削減です。給水システムによるCO2削減効果は約6トンで、500mlペットボトル約17万本分に相当します。参加者の約95%がこの方式に賛同し、「ビニール製レインコートが散乱しておらず気持ちよかった」という声も大会公式ページに掲載されています。
この事例で重要なのは、個人の分別意識だけでなく、主催者が使い捨てカップを供給しない仕組みを整えたことです。マイボトルは個人の美徳で終わらず、大会設計と組み合わさることで大きな削減につながります。一方で、給水所の方式や必携容量は大会ごとに異なるため、環境配慮を理由に必要な水分を減らしてはいけません。暑さや長時間走では電解質 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)の補給条件も大会案内で確認し、めまいなどの異変があればごみ削減より救護と給水を優先します。
ABW Standardは2024年1月から運用され、2023年には100を超えるイベントが一部を試行しました。「ABW Standardは大会運営の全段階を扱う55の行動領域で構成されます」(原文英語)というWorld Athleticsの説明は、サステナビリティを給水所のごみだけで評価しないための基準になります。
申し込み前は、次の項目を比較してください。
| 確認項目 | 環境面で見る点 | 安全面で見る点 |
|---|---|---|
| 会場までの移動 | 自宅からの距離、公共交通、送迎 | 終電、混雑、帰路の確保 |
| 給水 | マイカップ・マイボトル、容器削減 | 給水箇所、必携容量、気象条件 |
| 配布物 | 参加賞や紙資料の選択可否 | 必要な案内を受け取れるか |
| 荷物 | 使い捨て袋の有無 | 防寒・雨具を預けられるか |
| 主催者の報告 | ごみ量、回収先、削減実績の公開 | 医療・救護体制の公開 |
マラソン大会を探す時は、ランニングイベントとレースを起点にし、レース当日のチェックリストへ公共交通、給水方式、荷物袋、参加賞の要否を加えると実践しやすくなります。近隣のparkrunや地域大会を選べる場合は、遠征を年に何回までにするか先に決める方法もあります。
自然の中で守る環境配慮型ランニング
トレイルランニングでは、環境配慮型ランニングをランニングルート設計の段階から始め、自然への影響を減らします。ランニング路面がぬかるんでいる日に道の外側へ広がると、踏みつける範囲が拡大するため、指定されたトレイルランコースを外れず、必要なら日程やコースを変えます。
Leave No Traceは、屋外利用の影響を減らす7原則を示しています。「持ち込んだ物は持ち帰ります。食べ物の残りやペットの排泄物も含みます」(原文英語)という7 Principlesの考え方に加え、耐久性のある路面を使う、見つけた物をそのまま残す、野生動物へ餌を与えない、他の利用者へ配慮することが含まれます。
ごみを持ち帰るだけでは十分ではありません。ぬかるみを避けようとしてコース脇の植生へ踏み込む、写真のために石や植物を動かす、野生動物へ近づく、大きな音を出すといった行動も対象です。登山の利用者と共有する狭い場所では歩行者を優先し、追い越す前に声をかけます。急斜面での坂道ランニングも、指定路面を外れない範囲で行います。
トレイルレースでは、主催者が定める必携品とコースルールを優先してください。競技情報を比較する際は、国際トレイルランニング協会が示す大会情報も確認材料になります。水、安全装備、防寒具を減らすことは環境配慮ではありません。悪天候や路面悪化が見込まれる日は、指定ルートを守れない状況になる前に中止や変更を選びます。装備と路面の基本はトレイルランニング完全ガイドで確認できます。
環境配慮型ランニングを続ける判断基準
環境配慮型ランニングを続けるには、アクティビティ記録へ走行距離やトレーニング負荷だけでなく、「買わなかった物」「公共交通で参加した大会」「使い切ったギア」を一言加えると見直しやすくなります。新品の数ではなく、回避できた購入と使い捨て、近場で完結できた回数を記録します。
毎回すべてを数値化する必要はありません。ランニングアプリやGPSトラッキングを使う場合も、環境行動のために新しいウェアラブル端末を買う必要はありません。移動履歴を残す時は位置情報プライバシーを確認し、公開範囲を自宅周辺まで広げないようにします。
月末に、ギア、移動、給水・包装、自然利用の4項目を振り返り、次の1か月で変える行動を一つだけ決めます。路面が荒れて指定ルートを守れない日は、遠方の代替コースへ車で向かう前に休養日へ切り替える選択もあります。たとえば「新しいウェアを買わず手持ちを点検する」「次の大会は公共交通で行ける候補から選ぶ」「ジェルの包装を必ず持ち帰る」のいずれかです。
flowchart TD
A[走る予定を決める] --> B{自宅や公共交通で行けるか}
B -->|はい| C{手持ちのギアで安全に走れるか}
B -->|いいえ| D[近い大会や別ルートも比較]
C -->|はい| E[マイボトルを持って実施]
C -->|いいえ| F[修理・代用・必要最小限の交換]
D --> C
E --> G[ごみと路面の状態を記録]
F --> G
移動、手持ちギア、安全、使い捨ての順に判断する流れです。
迷った時の判断基準は3つです。安全に使える手持ちギアを長く使う、近場と公共交通を優先する、大会と自然では主催者の仕組みと利用ルールを選ぶ。環境配慮型の新品は、安全性または用途が不足し、代用や修理ができない時に比較します。この順序なら、走る楽しさや安全を削らずにgreen habitsを日常へ組み込めます。
関連記事
出典
- Women’s Health「あなたのランニングシューズは、どのくらいサステナブル?」 — 2023-04-29 — シューズのライフサイクル排出量、構成部材、再生素材、購入頻度を確認
- 湘南国際マラソン「環境配慮の取り組み」 — 2025 — ごみ排出量、マイボトル、給水システムの実績を確認
- 環境省 COOL CHOICE「サステナブルな取り組み」 — 2021-10-14 — 衣服のCO2排出量と水使用量を確認
- 日本スポーツ協会「スポーツと環境」 — 2025-12-03 — SDGs、スポーツと持続可能性の位置づけを確認
- ASICS「製造段階における環境負荷の管理」 — 2024 — シューズの製造工程・材料調達と環境負荷の関係を確認
- ミズノ「サステナブル・プロダクト」 — 2025-06-10 — LCA、耐久性、メンテナンス、リペアの方針を確認
- Leave No Trace「7 Principles」 — 2026-07-20 — 路面、ごみ、野生動物、他利用者への配慮を確認 —
[en] - World Athletics「Athletics for a Better World Standard」 — 2024-06-04 — 55の行動領域と大会評価の運用を確認 —
[en]
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